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私は山口県の萩市で生まれ、大学を出た後九州にある化学メーカーに勤務しました。そして今から20年ほど前に上越市の工場に単身赴任しました。その時の技術士の繋がりで地場産センターの職員と出会い、公私ともに長い付き合いが始まりました。
あの頃は若かったね。気付けばもう70歳。
気持ちの面だけでなく、体の方も趣味のマラソンで鍛えています。10年前からマラソンを始め、おかげさまで国内はもちろん、ハワイのホノルルマラソン、北京マラソン、シドニーマラソンなど1年に1回は大きな大会に出場しています。 今年(平成25年)出場したシドニーマラソンは他の大会に比べて制限時間が5時間半だったのできつかったですね。 30km地点で両足がけいれんしましたが、頑張って5時間1分でゴールできました。
背景から説明しますと、第二次大戦後、ものつくり立国として日本は繁栄してきましたが、1990年を境に20年以上経済の低迷が続いています。その主原因と言われている6重苦に加え、アジアの急速な技術力向上と貿易産業の影響を受け、多くの製造業が厳しい経営状況に直面しています。
そのような時代に製造業が生き残り・発展するためには、斬新な発想・手法・技術を積極的に取り入れ、抜本的な企業の構造改革および大幅なコストダウンが求められます。そこで本講習会では、まず製造業を取り巻く環境変化と影響を正しく理解・認識し、製造業が持続的に発展するための対応策を整理・理解します。そして低コストで価値ある商品を作りだす具体的な手法として役立つ「VE(価値工学)」および「課題解決法」を私の経験に基づく具体例を引き合いに、半年の講習会の中で各受講者の状況に則した演習や実習を行いますので、現場にフィードバックできる実践的な内容としています。
VEとはValue Engineering(価値工学)の略で「最低の総コストで、必要な機能を確実に達成するために、組織的に、製品またはサービスの機能の研究を行う方法」と日本VE協会では定義しています。
VAとはValue Analysis(価値分析)の略で、「機能を考えたコスト低減を考えて付加価値を高める手法」です。
例えば企業が新製品を開発するとします。闇雲に機能を盛り込んでいけばコストアップとなり、販売数の低下が懸念されます。そこで、製品の手段(何のためにあるか)を分析し、それを実現するための機能を考え、その機能ごとのコストを割り出して、優先順位をつけて製品設計にフィードバックする、それがVA(価値分析)です。
製品だけではありません。 機械加工からプレス加工にする、スチールのめっき品からステンレス鋼に変更するなど、部品の加工でも必要な機能を掘り下げて理解し、その機能を実現するためのコストを下げる方法を考えて、形状や作り方を提案することもVAです。皆さん「VA」という言葉は知らなくとも、おそらく一度はどこかで意識したことがあるのではないでしょうか。
ものづくりに関わり、付加価値とコストの関係に興味のある人であれば、誰でも受講してほしいですね。もう少し具体的に言えば、「コストアップを抑えた新製品の開発を検討している」、「客先からのコストダウン要求が厳しく新しい方法を模索している」などで、現状で課題に直面している人、直面していなくても今後予想される人にとっては、新しい視点で物事を捉えられる機会になると思います。
講習会の始めに私自身が仕事をしてきた中での経験をお話しします。それは「講師自らが受講生の教科書にならなければならない」との信念があるからです。どんなに勉強をしても使わなければ意味がありません。ですから講習会で得た知識をどんどん仕事に活用してほしいですね。
人間はいつまでも夢を持ち続けなければいけません。日本の製造業の力を高め、またアジアの製造業の指導を通じ、日本と共存共栄できる親日派を作る事が私の夢です。もちろんどんな人も夢を持ち続けなければいけません。私は今までに九州、東京、つくばなどで仕事をしていますが、夢を追い求め実現を目指すサークルとして各地で「夢追いサロン」を主催しています。「多くの人が夢を語り、有言実行に移すこと」、それが私の抱負です。
平成25年12月